都会の喧噪を忘れさせてくれる場所

f5.6 AE(1/100) ±0 AWB ISO1600
入口を通ると、左右にはこのような風景が広がります。ひんやりとしていて、しかもそれなりに暗いです。都会の喧噪を忘れさせてくれる場所です。14mmというワイドな画角ですから、たくさんの木を画面に入れた構図を作ることができました。ここまで広いと、「たくさんの原生林」というイメージを強く出すことができますね。コントラストもハッキリしていて好みでした。

「今年発売された高性能レンズを代表する1本 ! 」と言ってしまいましょう。世界初となる、開放F1.8をもつ大口径広角レンズがシグマから発売になりました。焦点距離は14mmです。こうした個性的なレンズは大好きなので、注目していました。35mmフルサイズ対応の単焦点Artレンズとしては、7本目になります。写りはもちろん、操作性も大いに気になりますね。

さて、シグマ 14mm F1.8 DG HSM|Art。箱から取り出すと、その大きさに驚きます。どっしりした雰囲気があり、当然ですが重いです。レンズの重さは1,120g。広角とはいえ、さすがにこの重さだと、長時間の手持ち撮影は厳しいと感じるケースもありそうです。でも、実際に使ってみるとあら不思議。とても持ちやすいんですね。EOS 5D Mark IIIに装着して試したのですが、中指で鏡胴を押さえて薬指でそのサポートを、そして人差し指をフードのところに添えて安定させる、というポジションが自然に行えるのです。安定性がとても良いので、手ブレ補正とはまた違った意味で、ブレ軽減に大いに役立つと感じました。しっかりホールドできます。

これを持って、長野県南佐久郡にある白駒池に行ってきました。目的はそこに通じる歩道の左右に広がる、原生林と苔です。超広角レンズ一本で、いつもとは違う広がりのある写真を撮りたいと思っていました。あちこちでカメラを構えて狙ってみましたが、ファインダーに広がるダイナミックな世界にまずは感動します。カメラの角度を変えてみたり、寄ってみたりといろいろな撮影を楽しむことができました。構図を決めるなかで、「ここを切るとあそこはどうなるか」なんてことをファインダーでシミュレートします。シャッターを押すまでのプロセスも大いなる魅力の1つですね。AFはとても素早いです。マニュアルフォーカス用のリングも使えますが、実際はAFに頼ってしまって良いでしょう。求める要求に、忠実に応えてくれます。

画面の中心から周辺に至るまで高画質を実現

f8 AE(1/60) -1 AWB ISO1600

シグマ 14mm F1.8 DG HSM|Artは11群16枚のレンズ構成です。色による結像点のズレを除去するために、FLD、SLDと呼ばれる高性能ガラスを使用、さらに最前面には非球面レンズを採用しました。これによって、画面の中心から周辺に至るまで高画質を実現しています。絞り羽根は9枚の円形絞り。かぶせ式のレンズキャップも大型で、豪華さを感じさせるものでした。

タテ位置での撮影

f11 AE(1/50) -0.3 AWB ISO2000

こちらはタテ位置での撮影。根元までを画面に入れても、木が伸びているさまを表現することができます。こうした撮影は超広角レンズがないと不可能ですので、画面を隅々まで使って写真を撮れることに大きな楽しさを感じました。下はどこまで入れようか、三つ葉はどこまでのラインで切ろうか、そんなことを考えながら構図を作るのが面白く感じました。じっくり狙えます。

たくさんの苔に覆われた木の根元に寄ってみました

f6.3 AE(1/100) -1 AWB ISO2000

たくさんの苔に覆われた木の根元に寄ってみました。ロープが張られているので、場所によってはあまり近づけませんが、間近まで寄ってみると迫力のある写真も撮れます。主題を大きく捉えつつ、背景も広々と画面に入れることができますので、雰囲気のあるカットを得ることが可能です。どのくらいの年月を重ねたらこんな感じになるのでしょう。まさに自然の芸術ですね。

木々に覆われた歩道は薄暗く、なかなか露出が上がりません

f6.3 AE(1/40) +0.3 AWB ISO500

木々に覆われた歩道は薄暗く、なかなか露出が上がりません。ISO500くらいまで落とすと、かなりシャッター速度が落ちます。足場が不安定なのと観光客が多いため、時間帯によっては三脚使用が困難、手持ちに頼ることになります。そうした際には、レンズの安定性がとても重要になってきます。本文で触れた持ちやすさは、重量とのバランスが適度に取れていると思いました。

開放F1.8での撮影

f1.8 AE(1/1600) -0.7 AWB ISO1600

開放F1.8での撮影。シグマ 14mm F1.8 DG HSM|Artの大きなウリの1つです。F1.8の被写界深度によって背景を広くボカした撮影は、このレンズでなければ味わえません。最短撮影距離は0.27mです。被写体に迫って背景を大きくボカせるので、表現の幅が広がります。これぞ大口径レンズの醍醐味といえますね。カメラの角度によって雰囲気を変えられるのも特徴です。

少し背伸びをして、俯瞰気味に狙ってみました

f8 AE(1/80) -0.67 AWB ISO3200

少し背伸びをして、俯瞰気味に狙ってみました。この広がり感は、超広角の領域でないと得られないものです。手前の木は根元を入れて、逞しさを出しました。そして奥のほうの木の根元も、手前と同様に広がっているのがわかります。この木々は何本あり、どこまで広がっているのか、そんなことを考えさせてくれます。様々な風景にこのレンズを向けてみたい、そう感じました。

たくさんの木がにょきにょき伸びている、その広がり感をタテ位置で狙ったカット

f4.5 AE(1/200) -0.67 AWB ISO2500

たくさんの木がにょきにょき伸びている、その広がり感をタテ位置で狙ったカット。画面が広いってすごい。そう感じることができます。フルタイムマニュアル、マウント部の防塵・防滴構造といった基本性能はもちろん備えています。加えて、ソニーEマウントでも使えるマウントコンバーターMC-11にも対応。ソニーαシリーズでも使用することができるのは大きな魅力です。

なんとも面白い形状の木を見つけました。カエルのよう

f7.1 AE(1/200) -0.3 AWB ISO3200

なんとも面白い形状の木を見つけました。カエルのようです。これを周囲の木々が優しく見守っている、そんなイメージで撮っています。ここ白駒池の「苔の森」には、約500種類の苔が生息しています。苔にそれだけ多くの種類があるというだけでビックリ。日本蘇苔類(せんたいるい)学会より「日本の貴重なコケの森」に選定されています。オススメの撮影地でもあります。

「白駒の奥庭」

f11 AE(1/200) +0.3 AWB ISO200

「苔の森」から少し外れたところにある「白駒の奥庭」と呼ばれるところ。とても素晴らしい景観でした。高校生くらいの団体が先を歩いていたのですが、引率らしき先生が「ここは自然が作った日本庭園です」と説明していました。清々しい気分で撮影を終えたあとは、すっかりこのシグマ 14mm F1.8 DG HSM|Artを気に入ってしまいました。フジヤ価格で170,100円です。

EOS 5D MarkIII+シグマ 14mm F1.8 DG HSM|Art
キヤノン EOS 5D Mark IIIに装着したところ。さすがに大きいですね。望遠大口径とはまた違った凄みを感じます。まさに「やってくれそう」ですね。しっかりしたフードは固定式。とはいえ、持ち運ぶときには安易にぶつけてしまわないよう、注意しましょう。楽しいレンズでした。

光学性能と表現力を高いバランスで追求したArtラインに相応しく、コントラストのメリハリが効いた描写を見せてくれます。しかもF1.8ですから、この開放値を生かした全く新しい表現も可能になるわけです。星景や夜景撮影でも、きっと大活躍でしょう。それにしても困ったことがあります。この「オレため」でも、シグマの35mmフルサイズ対応単焦点レンズは何度か試したことがありますが、そのたびに欲しくなってしまうのです。いっそのことすべて揃えてみようかと思うのですが、今回のシグマ 14mm F1.8 DG HSM|Artで7本目ということで、どんどん壁が高くなっていくように思います。超広角の面白さをまさに堪能できる1本ですね。

■撮影場所
白駒池(白駒の池) https://yachiho-kogen.jp

Photo & Text by 高山景司
※撮影はJpeg、手持ちで行っています。ピクチャースタイルは風景に設定。
※レンズの価格は2017年7月7日現在です。

sigma14mm

SIGMA 14mm F1.8 DG HSM|Art
https://www.sigma-global.com/jp/lenses/cas/product/art/a_14_18/
2017年7月発売(シグマ用、キヤノン用)
レンズ構成:11群16枚
最短撮影距離: 27cm
質量:  1,120g
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※ニコン用発売日未定 2017年7月7日現在

MC-11

SIGMA MOUNT CONVERTER MC-11(キヤノンEF-SONY E)の展示もご用意しておりますので、お気軽にお試しください。
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「オレに試させろ!」第1回- 第30回
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