オオゴチョウ(沖縄三大名花)

f2 AE(1/5000) +1.3 AWB ISO640
オオゴチョウ。館内の案内板によると、沖縄三大名花のひとつで、開花した姿がまるでたくさんのチョウが舞っているように見えることが名前の由来だそうです。
撮影している時は、ただひたすら「カタツムリ」みたいだと思っていました。それを具現化できないかと、あれこれ背景を変えて撮ったものです。
でもこうして写真を眺めていると、「カタツムリというよりもカニじゃん ! 」と思ったり。実を目に見立てています。

今回取り上げるレンズベビー Velvet56 は、去年の6月に発売されました。当初から存在は知っていましたが、正直あまり興味はわきませんでした。店頭には、実際に試せる展示品もありますが、スペースも小さくこぢんまりとした印象は拭えません。ところがある日のこと。ご来店されたお客様のカメラに、このレンズが装着されていました。不思議なことにこれで俄然興味が湧きまして、「レンズベビ?っていったいどんな写りなんだろう、そうだ !だったら試してみよう!」そんなこんなで、今回外に連れ出すことにしました。

テストレンズはEOSマウント。EOS 5DMarkII に装着して試写しています。
「ソフトな写真が撮れる」ということで、被写体の選択は必要ですが独特の描写はとても面白いと思います。「ふわぁ〜っ」とした雰囲気が画面全体に広がりを見せくれますが、f4あたりからはこうしたソフト感が和らいでいきます。ポートレートでの差別化を図るのはもちろん、ファンタジックな水族館での撮影にも適していると思い、まずは東京都板橋区立熱帯環境植物館へ。

プルメリアの花

f1.6 AE(1/3200) +1 AWB ISO125

プルメリアの花。ハワイなどの島々で、レイに使われる花としてよく知られています。寄り添うように咲いていたので、ほぼ正面から狙いました。ふんわりと柔らかなソフト効果が、ファンタジックさをより強調し、2つの花の可憐さが出せました。周囲には緑色がありましたが、これの画面割合を少なくし、花の中心で露出を決定しています。これによって緑は黒く潰れることになりましたが、周辺の丸いボケが目立たなくなりました。

ひっそりたたずむユメカサゴ

f 1.6 AE(1/100) +0.6 AWB ISO4000

ミニ水族館エリアのユメカサゴ。ひっそりと佇んでいました。見つけることができずにそのまま通り過ぎてしまうお客さんも多かったけれど、いい場所にいてくれたので確認できた時はちょっと喜んでしまいました。ピントは目元です。手前の岩がほどよくボケてくれたので、さほど目立たなくなりました。下にヒレが見えていますね。まるでこれがたくさんの足で、これを軸にして立っているように感じました。そんな思いから、ギリギリまで入れてフレーミングしています。

キュートなニシキアナゴ

f5.6 AE(1/250) −1 AWB ISO4000

こちらはニシキアナゴです。ひょろひょろ動き回っていましたが、手前で撮れたので比較的ラクに追うことができました。f5.6まで絞り、周囲を暗く出すためにマイナス補正。そのため、通常のレンズで撮影したのとほとんど変わりません。水族館ではこのレンズを1つ使うだけで、2通りのシチュエーションを生み出すことができます。ポートレートでの使用も推奨されていますが、意外や意外、水族館でもその威力を存分に発揮してくれました。

板橋区立熱帯環境植物館の大きな葉

f 2.8 AE(1/320) +0.3 AWB ISO800

板橋区立熱帯環境植物館では、清掃工場から出る余熱を利用し、東南アジアの熱帯雨林を再現しています。4つの植生ゾーンに分かれた温室・冷室のほか、ミニ水族館も設けられ、熱帯の環境を楽しみながら学べます。館内で見かけた大きな葉は、それぞれ印象が異なっていて興味深いです。カメラを構える位置によって、上下のボケをコントロールすることもできます。ちょうど水滴が乗っていて、濡れた質感がよく表れました。こうした条件が、このレンズは得意なようですね。

これは何でしょう?ミストの機器

f5.6 AE(1/200) −0.3 AWB ISO320

ここからは東京都恩賜上野動物園に移動して撮影。ゴリラ舎近くに設置されている、ミストの機器を撮ってみました。f5.6あたりまで絞ると 、ほとんど普通の標準レンズと変わらない写りになります。中心部の描写はしっかりしていますが、周辺はボケています。つまり真ん中にメインの被写体を置けば、自ずとそれが引き立って見えるようになるのです。

本物?偽物?ぞうの置き物

f2 AE(1/400) ±0 AWB ISO200

本物?偽物?ゾウ舎のわきにあったゾウの置き物。夏休みというだけあって、たくさんの子供たちが乗って楽しんでいました。ピントは目元に合わせ、f値は2です。見事なソフト効果が出ました。鼻のところは白飛びしています。全体の露出を考えれば致し方ないと判断していますが、気になる場合は被写体に当たる光の状況、色合いを考慮してこのレンズを選択する必要があるでしょう。

ジャングルに迷い込んだよう

f1.6 AE(1/1600) −0.6 AWB ISO320

クマ舎の近くで見つけた風景。迷い込んだジャングルの中で、ふと上を見上げたらこんな感じだった、というイメージで撮影しています。開放だとボケが大きくなり、一見するとピントをどこに合わせたのかが解りませんね。正解は、右側にある黄色い葉です。葉と葉の間から覗く光の滲み感にちょっと不気味な印象を抱き、これが「暗いジャングルの中」というイメージに繋がりました。

LENSBABY Velvet56+EOS5D MarkII
愛機EOS5DMarkIIに装着。マニュアルレンズはピント合わせも楽しいものです。それはそうと、カメラがボロボロですね。重さは410gと、EF85mmf1.8USMに近いかなと感じました。目盛りなどの表記と外装の質感は個性的で、メタリックな印象。電子接点がないのでマニュアルフォーカスでの撮影になります。ピント合わせはさすがに山が掴みにくく、慣れが必要かもしれません。撮影後モニターで写真をチェックすると、ファインダーで覗いたときとはまるで違う作風になっています。最初は戸惑いを感じることもありましたが、撮るものによってはとても面白いと思います。

ヘリコイドは、トルク感もありしっかりしていますが、絞りリングはやや細く感じます。撮影中に動いてしまうようなことはなかったですが、ちょっと心配になりました。フードはミラーレスカメラ用にしか付属されていません。レンズキャップは「Lensbaby」と表記のあるメタル製。カッコいいのですが、被せるときにはヘリコイドを少し繰り出し、すっぽりとキャップ全体が入り込むようにしましょう。

もしも手に入れたら、さまざまな被写体を狙ってみてください。意外な楽しさや面白さが発見できれば、それが個性的な写真作りにきっと繋がるはずです。価格については意見が分かれると思いますが、いつもと違う作風を目指したい時、頼りになってくれるのではないでしょうか。それが答えでなくても、ヒントを作ってくれそうな一本です。

※撮影はすべてJpeg、手持ちで行っています。ピクチャースタイルは風景に設定。

Photo & Text by フジヤカメラ店スタッフ 高山景司

レンズベビーベルベット56

Kenko Tokina LENSBABY Velvet 56
http://www.kenko-tokina.co.jp/imaging/eq/camera-lens/lensbaby/lineup/4961607860045.html
2015年6月発売
レンズ構成:3群4枚
最短撮影距離:13cm
フィルター径:62mm
質量:410g
ご注文はこちら

「オレに試させろ!」第1回- 第30回
バックナンバーをご覧になりたい方はこちら